月光録が届いたよ記念に、フォルダの奥底から引っ張り出してきたラギコウ文晒し。
月光録、まだ袋から出して取説読んだだけなのでラギコウの様子はよく分からないですねー。
自分の中に、その後のラギコウ設定食い違いが出来る前にここに晒しときます。
読み返してたら切なくてビクーリした。(笑)
だって設定自体が切ないんじゃもん、ラギー。
基本的にはラブラブしてる2人が好きなんですが…本来の葛藤とか必要かな、と思って。
てか私、ラギーの目治る主張派ですから!!(力説)
月光録ではどうなってんだろ?
基本的に三人称で書く人間なので、ちょっと珍しいかもしれないラギー視点。
では続きで。
目に映る真実-------------------------------------------------------
『目に見えるものだけが真実じゃない』なんて、世間じゃよく言うけど。
きっとそれは真実なんだろう。
だって、目に見えるものだけが真実なら俺の世界はすべて虚構になってしまう。
見えなくなって行く――この世界は。
いや、世界が偽物だって本当は構わないんだ。ただ、彼が本物であるなら。
他の何が偽物だって構わない。でも、彼だけは真実であってほしい。
彼の笑顔が――その存在さえもが偽りだなんて。
信じたくもない。
考えたくもない。
それは、願いにも似た――
「なぁ、ラギー?」
独特のイントネーションで掛けられる声。彼の声はやわらかい。
その声は、俺の感情を少しの浮遊と共に揺り動かす。
不可解な感情ではあるが、不快ではない。むしろ心地良いのかもしれない、俺に浸透する――声。
「なに? コウちゃん」
その声の余韻をゆっくりと耳に残しながら、俺は続きを促した。
東の空は遠く白濁している。薄く細い光が、ごみごみとそそり立つ建物の間から射し込んでいた。
天魔との交戦後。明け方の空気は、まだ肌に冷たい。
「もし、自分の目が見えへんようになったら…どないする?」
ゆっくりと頬に付いた天魔の血を拭いながら。
それでも彼の声は穢れない。
「何で急に?」
一瞬、コウちゃんに俺の目の事がバレてるのかと思った。
誰にも話していない、俺の受けた『
第七の目』の影響――。
薙あたりは気が付いているかもしれないが、俺の口からは一度だってペンタのメンバーにさえ話していない。
「いや、なんとなくな。目ぇ見えへんようになったら不便ちゃうんかなぁ、思て」
学院の白い制服にポツリと飛んでいる血糊を見つけて、あぁ、と溜息を一つ。
何でウチの制服って白いんやろ? ぶつぶつと呟いて、その視線が俺に向く。
「で? どない?」
「そうねぇ…」
自分は本当はそれに限りなく近い状態なのだと、言ってしまえたら楽なのだろうか。
「どうにかなるんじゃない?」
「それ、答えになってへんで」
口角が上がった子供のような笑顔を見せて、軽く裏拳のツッコミが肩に入る。
まだ視覚で見ることができる、コウちゃんの笑顔。
見えると言うのは思い込みか錯覚で、本当は半分以上記憶で補っているのかもしれないけど。
それでもまだ、見える。
「でも、コウちゃんの可愛い笑顔が見えなくなると…イヤかも」
「何言うてんねん。
淑女達の、やろ?」
「あ、バレた?」
冗談に混ぜた真実を一つ。
彼に気付かせるつもりはない。けれども、言葉にしなければその気持ちさえ虚構になるのではないかと。
(俺も案外、メランコリックだね…)
不安。
その要素は次第に濃さを増していく。光を失いつつある世界に――闇を増す世界に、比例するように。
この世界が光を取り戻せば、あるいはその不安も消えるのだろうか。
――時折、そんな詮無いことを考える。
打ち消しては、また同じ事を考えて。考えるだけなら良いではないかと、スマートではない自分を正当化する。
彼という存在が、俺の世界を照らす太陽になってはくれないかと。
そう願うことは……罪だろうか。
隣を歩くコウちゃんをふと見る。
俺の視線に気付いたのか、彼は首をこちらに向けた。
彼の中で、先の話はまだ終わっていない。何かを言おうとしている。よく動く表情を乗せる瞳が、俺を捕えた。
「まぁ、見えへんようになったら…」
コウちゃんはまたゆっくりと口角を引き上げて、いつものように笑顔を見せた。
少し強さを増した白亜色の朝日と混ざって尚、輝きを失わない。
まだ見える笑顔。俺の好きな――
「ワイがラギーの目になったるわ!」
太陽のような笑顔。
だんだんと見えなくなっていく世界で。
この笑顔が真実だと。
それは
確信に酷く類似した――願い。
****
えっと、この二人まだくっ付いてませんね。(イキナリ)
晃ちゃんが天照行く前、月詠でペンタファング活動バリバリしてる頃。
でも、ラギーの晃ちゃんに対する想いはもう出来上がってる、と。
随分前に書いたものだったのですけど。
昔こんなん書いてたんだなー。(しみじみ)

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